『北の国から』 れいと純の、煮え切れない初恋

今晩は、ふじみるです。

先日、4月の14日(土)に四国の松山に行ってきました。

これからの生活に、自分で稼ぐためのある塾の集まりです。

65歳の私も含めて、インターネットを活用して

よりよい人生を送りたい思いを持っている仲間たちと

ワイワイガヤガヤいいながら飲み、歌った一夜。

30代から60代の男女、12人は

それぞれに、いい笑顔をされていました。

一軒の居酒屋でのことです。

手相を占うことが得意な女性に、酔った勢いで

私の手相鑑定をしてもらいました。

40代のシングルマザーと小耳にはさんでいたその彼女から、

「あなたは、浮気心満点の天才肌では?」

と、明るくさっぱり言われました。

「大当り!!」

大きな声で私は返していました。

ズバッと、いい当てた(?)彼女の言葉に

照れ笑いして酒を一気飲みするしかなかったです。笑

優柔不断で女好き。

呑兵衛で生活感なし。

今、生活保護を念頭に置いて

フ-テンの寅さんに憧れながら生きている。

そして、「北の国から」の、”純”に共感する

あまっちょろい自分に、ハッとしたものでした。

 

<松山・坊っちゃん列車>

みんなと別れて、ひとり。

ビジネスホテルの窓からみた

雨に煙っている松山の市街風景に

なぜか、北海道・富良野の雪景色が重なりました。

性懲りもなく

また、アレが見たくなった。^^

お~い!純。元気でやってるか!!

なんで、「れいちゃん」と別れたんだ、よ?

そんなことをフッと酔った頭に、、、

昔の恋人を思い出して煙草をくゆらせておりました。

目次

・まぶしい光

キラキラ刺さる太陽の光。

純がまぶしそうに振り返ると

手鏡で合図を送っている女の子が笑っています。

純の気をひこうとする、ふざけ半分の遊び。

れいちゃんとの出会いは、そんなところからでした。

「なにしてんの?」

女の子の家の敷地に、

勝手にはいっている純がいたのです。

これには、純もビックリしました。

野ざらしにされた、ナベを風車に利用した発電機をジッと見つめ

風力発電に使えそうかなって想像して悦にいっていた純でした。

男の子の夢は女の子には悟られたくないもの。

幼稚な言い訳は、純はしなかった。

いいえ

できなかったのです。

純は、ひとめぼれしちゃったんだもん。笑

れいの先制パンチに

顔を真っ赤に染めて逃げ去ったのです。

ひょんひょん飛ぶように

・自転車修理

そのころの純の「あだ名」は”ペンチ”。

なんでもかんでも解体しては組み立てる。

おやじ(五郎)の血を受け継いでいるのは明らかです。

あばら家だった、わが家の修理から

上流からパイプを引いて通した、あの水道。

お金をかけなくても、なんとかやればできる。

幼いころの体験が、解体・組み立てにつながる”ペンチ”でした。

そんなある日。

通りすぎたバスが上げる砂ぼこりの中に、

故障した自転車に途方にくれる女の子がいます。

ナベの風車。

キラキラ太陽。

ドキドキしたあの笑顔と声。

あれ?

バスの中から見ていた純は

”ペンチ”心が湧いてきました。

次の停留所でおり、ワザと遠回りして

さも、通りかかりのふりして

女の子に、照れくさそうに

「直してやろうか?」

「ありがとう」

使いなれた”ペンチ”がものをいうんです。

こんなのお手のモノだよ、って。

やったぜ!

口には出さないで

得意になって仕事仕事。

「できたよ」

「ありがとう」

これから、かな?うぬぼれる純。

純のことなんか気にも止めないで

「どうもありがとう」

自転車に乗って行ってしまう、女の子。

行っちゃうの?そりゃないぜ、、、

純、女の子が一枚上手だわ。笑

とぼとぼ歩いていると

さきの曲がり角に女の子が待っていました。

・雨宿り

待っててくれたんだ。

純は、素直に嬉しかった。

女の子はいっしょに歩きながら

「ペンチってあだ名のワケがわかったわ」

くすっと微笑んで、純のことをいろいろ尋ねるのでした。

気のない返事しかできない純。

「純くんて無口なのね、高倉健みたい」

健さんぶって、大きくうなずく純。

「顔はぜんぜん似てないけど」

ずけずけモノをいう女の子です。

純くん、と、さらりと呼んでいる。

ふたりの精神年齢は、かなりの差?

女の子はけっこうマセているんです。笑

ポツリ、ポツリと雨。

にわか雨からどしゃ降りに

ふたりは、小さな納屋に雨宿り・・・

入るなり

「すぐ脱いで、私もあっちで着替えるから」

ちゃっちゃとスト-ブに火を入れます。

あっちで制服を脱ぐ女の子。

肌に吸いつく真っ白いスリップ。

もたもたしながらTシャツを脱ぎ、

Gパンのチャックをおろす純。

干されたズックからしたたるしずく。

スト-ブを囲むふたりは、恥じらいの15歳です。

尾崎豊の曲に目を輝かせて、はずむ会話。

「カセット持ってる?」

「聴く器械ないんだ」

ポカンと口をあけたまま純をみつめ、

「わたしのあげる、もう一つ持ってるの」

いいよいいよと断る純。

やせ我慢はやせ我慢、すぐばれる。

「ほんと?」と、純。。

「ほんと」

さしだす小指と小指。

指きりげんまん・・・

・進路  

どしゃぶりの雨は、続いています。

尾崎豊ファンのふたりに、すこしのどかな空気が流れます。

自然と、これからのこと、進学の話になっていきました。

女の子は、東京へ出てダンスの勉強がしたい。

でも、お父さんは反対するに決まっている。

純は、地元の高校へいくつもりだとボソッと言います。

東京へいくものとばかり思っていた女の子は、

「こっちにいると遅れるばかりよ。私は、行きたい。

お父さんを捨てることになるけど、私、決めたの」

”いっしょにいかない?”

誘っているように感じた純。

「れいちゃん」

はじめて名前を呼んだ・・・!

純は、照れくさそうに

「うちは、無理だよ。お金ないから」

「東京に親戚いるんでしょう?そこに住んで、

定時制に通えばいいじゃない。昼は仕事して」

考えてもみなかった。

なんだか、どんどん希望と夢がふくらんでいく。

昼は仕事。夜は高校か。・・・うん。

それに、

れいちゃんと東京で会える。

どう見ても、れいちゃんペ-スに引きずられていく純。

惚れた男というものは、弱いもの。ものにするまでは・・・

ゆらゆら揺れる純は、ノボセル男の子でした。

・五郎と大里の対立

一方、

れいと純の淡い初恋とは無縁な

大人たちの生き残りをかけた争いが

そのころ進行していました。

自然の風水害に大打撃をうけて、

絶望的な一家を皆んなで助け合うのが習わし。

しかし、現実にはお金の工面に四苦八苦します。

農協からやっとの思いで借りることはできるが

絶望的なその一家のために、皆んなが犠牲を強いられる。

昔からの習わしに従うか

それとも、その一家を見放すのか。

五郎は昔からの習わしに、誇りを持ってる。

れいの父・大里は、反対の立場を譲らない。

純がロミオなら、れいはジュリエット?笑

二人は、農家同士のしがらみとは関係ないと思っていた。

・誕生日プレゼント

れいの面影が消えないその日のうちに、純は

東京にいる亡き母の妹・雪子に、手紙を書きます。

”東京に出て、定時制高校へ通いたい。

昼は働いて生活費を稼ぎたいと思っています”

勉強机の上でうつぶせに眠っている純の下から

その手紙がのぞいています。

たまたま、蛍が読んでしまいます。

文面の中には、「れい」の名前はありません。

しかし、妹の蛍は「れい」を知っていたのです。

近ごろ、はしゃぎ過ぎの純の様子に

それとなく「れい」の存在が匂っていたのです。

五郎は、まわりから噂を聞いていました。

「純、女のケツを追っかけているらしいな」

純はキレ、五郎をクソみそにののしるが

カエルの面に小便を決めこむ五郎でした。

中学3年生の純と五郎の亀裂は、

高校進学を東京に決めた純のかたくなな気持ちを

五郎だけには話さない、みっともない

男の意地に変えたのでした。

また、火に油を注ぐことになったのは

五郎が独りで酔っぱらっていた、ある晩。

CDを純に持ってきた、れいに

”お前のオヤジ(大里)なんか、仲間でもなんでもない!!”

吐き捨てるように言った恨み節。

れいと純の恋路の邪魔する気持ちは、五郎にはなかったが。

純は純で、東京に進学するための準備を進め

れいとは爽やかな草原のデ-ト。

そして、大里のところで風力発電機を仕上げていったのです。

五郎には内緒の誕生日プレゼントの。

五郎の誕生日の日。

夕方、居酒屋で

同級生の中畑から純の東京行きの話を聞かされます。

五郎は知っていました。

雪子から純に宛てた手紙を盗み読みしていたのです。

東京にくることに賛成する内容でしたが、

”五郎おじさんと、最初に相談してください”

純は、五郎に相談もせず、中畑や他の人に話を持ち込んでいた。

五郎ひとりが取り残された。

無性に寂しかった。腹が立った。

申し訳なさそうな顔の中畑を残して、居酒屋を出ていった。

そんな五郎を、我が家で待ち受けていた純たち。

なぜか家は真っ暗。

五郎がガラッと戸を開けると、まぶしい光に襲われた。

♪ハッピーバ-スデ- TO YOU
    ・
    ・
    ・
ハッピーバ-スデ-・・・・・・五郎~さん♪

一生懸命に作った純の手づくり「風力発電」は、

妹の蛍のプレゼントの老眼鏡には勝てなかった。

そんなことはどうでもいい。

純の、やり方が気に入らない。

五郎と純の、かみ合わない意地の張り合い。

二人は傷つけ傷つき、純は飛び出していった。

しこりが残った。

そして、

事故が重なった。

大里のところで

大里の女房が、

大里の運転していたトラックにつぶされ、死んだ。

・イヴの別れ

五郎の誕生日プレゼントは

さまざまな思いがこめられた忘れられない秋のものだった。

あれ以来、

純は東京行きを諦めて地元の高校進学に変えた。

れいとは、連絡も途絶えた。

冬のある日、れいと偶然に出会った。

お互いの気持ちは繋がっていた。

純は富良野に残り、

れいは卒業後は分からない。

れいの父は、妻の死と

経営でたいへんらしい。

雪道を歩いていると、れいが

「卒業式のあとで、札幌で会わない?

・・・遅くなったら泊まればいいし」

純はどぎまぎするが、

期待に鼻の下を長くする。

れいも、この時ばかりは、

ごめんなさいと、しおらしい。

来年のことは来年のこと。

それよりも

「イヴの日、会えない?あの納屋で」

純には予定が入っていたけど、もちろん

「すこし遅くなるけど、必ず行くよ」

指きりはしないで

手を振りながら走り去ったれいだった。

イヴの夜。

大里が夜逃げした。

れいとは会えなかった。

待ち合わせ場所の納屋には

置手紙とXマスプレゼント。

そして、

”来たのよ私。純くん。”

雪の中に残る

Uタ-ンの足跡が語っていた。

”卒業式のあと、一緒に札幌へ

行こうって言ったじゃないか・・・”

未練がましい純だった。

イヴの夜。

れいと純の淡い初恋は終った。

”そりゃあ、ないんじゃないのか。れいちゃん”

あきらめていた東京行きが

五郎の親心によって、実現することになった。

卒業式のあと、純は東京へ旅立っていった。

・ふらつき

もう逢えないかも知れない。

ぽっかりと空いた、ハ-トのちっぽけな傷口を

冷たいすきま風がとおり過ぎていく。

東京の生活は、刺激に満ちていたが

どこかしら薄っぺらくて、落ち着かない。

上京してから仕事を転々としている純だったが

高校へは真面目に通っていた。

そんなある日、純がアルバイト先で傷害事件をおこします。

はなむけとして肌身離さなかった、五郎のお金が盗まれ

それに逆上してのあやまちだった。

肩身が狭い、雪子おばさんの家での居候生活にも飽きていた。

あっちを向いてもこっちを向いても

純の居場所はどこかわからなかった。

いたたまらず、富良野へ帰ってしまったのです。

2年ぶりの帰郷だった。正月だった。

わが家でのんびりしていた時、

ラジオ番組から、れいのリクエストが採用された。

尾崎豊の「I LOVE YOU」だった。

れいの居所がわかり、会いに行った。

札幌のレストランのウエイトレス姿のれいは、

一段と綺麗になっていた。

”札幌で会えない?・・・遅くなったら泊まればいいし”

札幌で今、会っている。

純は期待していたが、

れいは学生時代の思い出に浸っているだけ。

けっきょく、札幌の夜の雪景色を

寄り添いながら歩いているばかりだった。

純は、また東京へ戻ってしまう。

れいとは、遠距離交際を電話でするだけになっていた。

東京へ帰った純は、淋しさのあまり浮気をしてしまう。

しかも、妊娠させ、中絶までさせることになっていた。

好きでもなんともない女との苦い経験。

ふたたび、富良野へ帰ってきた純は

生きる場所はここしかない、と決意するのでした。

でも、本音はれいに会うため。

みえみえ、です。笑

ゴミ回収の臨時職員となった純は、

臭いへのコンプレックスがあって

れいとのデ-トにはコロン臭プンプン。

中学生のころに歩いた草原に

隙あらば、れいを押し倒してしまう。

純の下心はれいには通じません。

コロンの匂いが輪をかけて不愉快なれいでした。

少しずつ、ふたりの距離は大きくなって。

れいの結婚話にも純は、反対しません。

実はこのころから、純には別の女の影がちらついていて。

過去の懐かしい面影に

純の男をみている、れい。

会うたびに、魅力的なおとなの女、れいをみる純。

れいは、ほかの人と結婚することになりました。

「うん。いいんじゃない」

軽口をたたく純の気持ちは、よくわかります。

れいの結婚式の夜明け前、純は電話で

「映画・卒業のラストシーンのように

無茶苦茶にれいを奪ってやろうか」

これが、最後のれいに捧げた純の思いやり。

木陰からみていたれいの花嫁姿はキラキラして

純は、静かに見送っているばかりでした。

・65歳の春

この作品がTV放送された頃、私は36歳でした。

瀬戸大橋が開通し、バブル満開のころでもありました。

離婚を機に、故郷に帰って3年目。

その年の夏、

同じような境遇にいた、ある女性と恋を始めていました。

「北の国から」のれいと純のような

どこにでもある恋愛は、青春の美しい1ペ-ジとして

大切に心の片隅に仕舞っておくものだと思います。

36歳から始めた、あの女性との恋は実り薄いものとなっています。

優柔不断な浮気心満点の私は、

失礼だとは思いますが、純にそっくりです。笑

恋は、誰にでも

いくつになってもできます。

夢をみることさえ忘れないなら

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